確率過程の統計推測の最近の展開 2021
日時: 2021年3月11日(木) ,3月19日(金)
会場: Zoom
アクセス:-
オンラインミーティング環境Zoomを用いた研究集会を行います.参加を希望される方はそれぞれの日程の参加登録をお願いします.
2021年3月11日(木)登録
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZAscuuvrz4rHdeeGLJwJAwpSVdgWYdJcnpM
2021年3月19日(金)登録
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZUrdOytqDgqH9M9V0FmYxnysf6VLvGJ_yHp
プログラム(仮)
2021年3月11日(木)
13:00 - 13:40 鎌谷研吾(統計数理研究所)
Non-reversible guided Metropolis kernel
13:45 - 14:25 仲北祥悟(大阪大学)
誤差付き離散観測によるエルゴード的拡散過程の疑似尤度解析
14:35 - 15:15 江口翔一(大阪大学)
エルゴード的確率微分方程式における段階的モデル評価
15:20 - 16:00 小池祐太(東京大学)
深層ニューラルネットワークによる多次元拡散過程のドリフト推定
16:10 - 16:50 小林光木(早稲田大学)
Least squares estimators based on the Adams method for discretely sampled SDEs with small Lévy noise
16:55 - 17:35 清水泰隆(早稲田大学)
Asymptotic distributions for estimated expected functionals of general random elements
2021年3月19日(金)
13:00 - 13:40 貝野友祐(大阪大学)
微小ノイズをもつSPDEモデルのパラメータ推定
13:45 - 14:25 千葉航平(大阪大学)
非整数ブラウン運動で駆動される確率微分方程式のドリフトパラメータ推定
14:45 - 15:25 上原悠槙(関西大学)
飛躍型拡散過程の局所漸近正規性
15:30 - 16:10 荻原哲平(東京大学)
退化した拡散過程に対する局所漸近混合正規性
16:30 - 17:10 増田弘毅(九州大学)
On non-Cramér type asymptotics in locally stable regression
概要
Non-reversible guided Metropolis kernelアブストラクト:We construct a class of non-reversible Metropolis kernels as a multivariate extension of the guided-walk kernel proposed by Gustafson (1998). The main idea of our method is to introduce a projection that maps a state space to a totally ordered group. By using Haar measure, we construct a novel Markov kernel termed Haar-mixture reversible kernel, which is of interest in its own right. This is achieved by inducing a topological structure to the totally ordered group. Our proposed method, the guided Metropolis kernel, is constructed by using the Haar-mixture reversible kernel as a proposal kernel. The proposed non-reversible kernel is at least 10 times better than the random-walk Metropolis kernel and Hamiltonian Monte Carlo kernel for the logistic regression and a discretely observed stochastic process in terms of effective sample size per second.
This is joint work with Xiaolin Song.
仲北祥悟(大阪大学)
誤差付き離散観測によるエルゴード的拡散過程の疑似尤度解析アブストラクト:
誤差付き離散観測に基づく拡散過程を解に持つ確率微分方程式の拡散項の統計的推測理論は計量ファイナンス分野を中心に多くの研究がなされているが、ドリフト項も含めた統計的推測は相対的に未発達である。本研究は疑似尤度解析と呼ばれる枠組みでNakakita and Uchida (2019)で提案された疑似尤度関数の漸近的性質を調べ、その応用として拡散項・ドリフト項のパラメトリック推定及び検定の手法を提案する。加えて提案手法の数値実験や実データ解析を例示する。
江口翔一(大阪大学)
エルゴード的確率微分方程式における段階的モデル評価アブストラクト:
確率過程から離散観測されたような時系列データを用いた現象のモデル化に焦点を当てる. この現象のモデル化のためには, 候補となるモデルのよさを何らかの基準に基づいて評価し, 適切なモデルを選択する必要がある. 候補モデルとして確率微分方程式を仮定したモデル選択に関しては, エルゴード的拡散過程におけるAIC型情報量規準(CIC)や局所漸近二次構造モデルにおけるSchwarz型情報量規準(BIC, quasi-BIC)の導出など様々な理論的研究が行われている. 本発表では, エルゴード的確率微分方程式においてレヴィ過程の場合まで扱うことができる設定の下, モデル評価基準の提案を行う.
小池祐太(東京大学)
深層ニューラルネットワークによる多次元拡散過程のドリフト推定アブストラクト:
近年、ノンパラメトリック回帰の枠組みで、深層ニューラルネットワークが従来のノンパラメトリック推定法よりも高い適合性を持つことが理論的に解明されてきた。特に、共変量の次元が大きい状況においても深層ニューラルネットワークが高い汎化性能を示す理由の研究が進んでいる。そこで、本研究では、多次元拡散過程の高頻度観測データからそのドリフト係数を深層ニューラルネットワークによってノンパラメトリック推定する方法を提案し、推定量の汎化誤差を評価する。その結果、いくつかの設定においては、ノンパラメトリック回帰の場合と類似の収束レートが得られ、そのレートが対数項を除いてミニマックス最適であることを示す。本研究は大賀晃弘氏(東大数理)との共同研究である。
小林光木(早稲田大学)
Least squares estimators based on the Adams method for discretely sampled SDEs with small Lévy noiseAbstract: For discretely observed stochastic processes with small noise, we propose LSEs via the Adams method, which is a well-known method in numerical analysis, and we show some results of their consistency and their asymptotic distribution. To construct an LSE for the discretely observed data, we usually construct an approximated LSEs via the Euler-Maruyama method, while the Euler method does not work well in numerical analysis. So, we show that the proposed LSEs have a similar result to one of the classical LSE, and compare them by numerical experiment.
This is a joint work with Yasutaka Shimizu.
清水泰隆(早稲田大学)
Asymptotic distributions for estimated expected functionals of general random elementsAbstract: We consider an estimation problem of expected functionals of a general random element that values in a metric space. If the functional is written by an explicit function of some unknown parameters, we can estimate it by plugging-in a suitable estimator into the function, and we can find the asymptotic distribution by a well-known delta method. However, if the functional is implicit in the parameters, it causes a problem of specifying asymptotic distribution. This paper gives a general condition to specify the asymptotic distribution even if the functional is implicit in the parameters and further investigates it in detail when the random elements are semimartingales with jumps.
貝野友祐(大阪大学)
微小ノイズをもつSPDEモデルのパラメータ推定アブストラクト
超高頻度データを用いた微小ノイズをもつ確率偏微分方程式(SPDE)モデルの係数
パラメータの推定について考える。SPDEモデルの係数パラメータのうち正規化さ
れたボラティリティパラメータと曲率パラメータに関連する二つのパラメータの
最小コントラスト推定量を算出する。得られた最小コントラスト推定量から座標
過程の近似過程を導出した後に、最小コントラスト推定量と近似過程を用いて、
SPDEモデルの残りの係数パラメータの推定量を求める。提案した推定量の漸近的
性質を示し、大規模数値シミュレーションにより推定量の漸近挙動を検証する。
千葉航平(大阪大学)
非整数ブラウン運動で駆動される確率微分方程式のドリフトパラメータ推定アブストラクト
ハースト指数が1/2より小さい非整数ブラウン運動で駆動される確率微分方程式のドリフト項のパラメータを長期完全観測の下で推定することを考える。最も基本的なのは尤度に基づいた推定量であり、Liu, Tindel and Nualart (SPA, 2019) はH>1/2における尤度比確率場の局所漸近正規性を示した。1/4<H<1/2の場合、レート行列として対角行列を用いるとフィッシャー情報行列が(シンプルなモデルでも)退化しうることがChiba (arXiv preprint, 2018)で示された。本講演では尤度比確率場を補正した確率場を用いたM推定量を提案し、その性質を紹介する。また、H<1/4の場合や長期高頻度離散観測の場合などへの拡張についても議論する。本講演は Chiba(SISP, 2020) に基づく。
上原悠槙(関西大学)
飛躍型拡散過程の局所漸近正規性アブストラクト:
局所漸近正規性を示すために必要な飛躍型拡散過程の推移密度の評価においては, 裾の重さと推移密度がジャンプ回数に応じた密度関数の混合和となっていることから生じる複雑さが問題となる.
本発表では, これらの問題に対し, 局所混合漸近正規性のための L^2 regularity condition を条件付き期待値へ置き換えた新たな条件を与え, ジャンプ回数をカットオフしたthreshold に基づく推移密度近似関数を導入することで局所漸近正規性を示す手法を紹介する.
なお本研究は荻原哲平准教授(東京大学)との共同研究に基づく.
荻原哲平(東京大学)
退化した拡散過程に対する局所漸近混合正規性アブストラクト:
拡散過程のいくつかの統計モデルに対する局所漸近混合正規性の結果を紹介する.局所漸近混合正規性は統計モデルにおける推定量の漸近有効性を定義する上で重要な性質であり,拡散過程のいくつかのモデルで既に示されている.本研究では、Jeganathan (Sankhya 1982)によるL^2 regularity conditionを用いたスキームをGobet (Bernoulli 2001)のMalliavin解析を用いたスキームとあわせることにより,先行研究と異なり拡散過程モデルに対して推移確率密度の評価を用いずに局所漸近混合正規性の結果を得る.このアプローチにより推移確率密度の評価を得ることが困難である,拡散係数が退化した拡散過程や拡散過程の積分値観測モデルへの適用が可能となり,関連する結果を紹介する.
増田弘毅(九州大学)
On non-Cramér type asymptotics in locally stable regressionアブストラクト: Locally stable models are non-Gaussian stable counterparts to diffusion type models. Most of the recent statistical developments for those models with unknown activity index are concerned with the Cramér (local) type asymptotics. In this talk, after a brief overview of the existing literature, we will demonstrate some newly investigated non-Cramér (global) type asymptotics.